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TOPITで食のインフラと地域商業を支える

座談会インタビュー

全日本食品株式会社様

全日本食品株式会社
ITマーケティング本部・取締役本部長

宇田川 貴志 様

フューチャーインスペース株式会社
インテグレーション&コンサルティング事業本部アドバンスドビジネスグループ・マネジャー

大﨑 直久

ITで食のインフラと地域商業を支える

Project Outline

プロジェクト概要

約1600の商店が加盟する日本最大級の食品ボランタリーチェーンを運用する全日本食品様。規模の利益と小売機能の本部代位による利益の創出や、店舗づくり支援によって、加盟店の繁栄と地域商業の発展に貢献しています。フューチャーインスペースは、業務プロセスの中核を支える基幹システム「HeartOne」の運用・保守をはじめ、多様なIT施策の支援・提案を通じて、全日食様のビジネスを支え続けています。

担当システム領域のチャート図

食を担う責任を胸に、地域の商店に確かな価値を

まずは、全日食様の基幹システムであるHeartOneの特徴を教えてください。

宇田川 全国の加盟店の商品仕入、在庫管理はもちろん、配送、債権・債務までを網羅するシステムです。2007年から導入されたこのシステムには、当時としては画期的であった「One to Oneマーケティング」機能を実現しました。たとえば、とあるお客さまが毎日のように牛乳を購入していたとします。すると、牛乳をお得に購入できる「そのお客さまだけのクーポン」が発券され、ご来店と購買を促すことができるわけです。

大﨑 HeartOneには、実績データをベースとした自動発注機能によるチャンスロス対策も盛り込まれているんです。さらには、商品計画や販売計画などの情報分析によって、効率的な店づくりを支援することもできるようになっています。

そうした最先端のシステムを地域の商店が利用できるようになるわけですね。
宇田川さんご自身、HeartOneの開発を牽引してきたと伺っています。

宇田川 営業として、お店回りをしていた私は、ITはまったくの素人。この役割を任されるとなったときは、青天の霹靂といった感じでした。ただ、得られたものは非常に大きかったと思っています。ビジネスに生産性をもたらすには、ITという手段が欠かせないと痛感しましたし、「One to Oneマーケティング」に対応したPOSを求めてイスラエルに行くなど、貴重な経験をさせてもらいました。

大﨑 現場を知り尽くした宇田川さんは、フューチャーグループにとって非常にありがたい存在でした。ITはあくまで手段。現場のニーズや目的を明確にしていただけたことで、より意味のあるシステムが実現したのだと思います。

宇田川 ただ、システムがカットオーバーしたからといって、それですべてが順調に進むわけではない。HeartOneがよりよく機能し、安定稼働していくために、共に歩んでくれたのがFISさんでしたね。システムが稼働したばかりのころは、とにかく苦労が絶えなかった(笑)。

大﨑 そうですね。システムがしっかりと安定稼働するように、改善と提案を繰り返してきましたし、安定稼働後も消費税や、軽減税率など、さまざまな対応が求められましたから。全日食様のシステムは、食のインフラを担うためのもの。その重責を常に意識して、安定稼働に尽力してきたつもりです。

ビジネスと目的を知り尽くし、多様なIT施策をサポート

ITパートナーとして、FISの魅力はどのようなところにあるのでしょう。

宇田川 システム構成も含めて、私たちのビジネスや仕組みを理解してくれているところですね。現場の業務と目的をしっかりと抑えているからこそ、価値ある提案をしてくれる。この点は大きなメリットですね。コストの安さを求めて他の企業にお願いしたとしても、絶対にうまくいかないと思っています。値段が高いだけの理由がしっかりある(笑)。

大﨑 (笑)。私たちのサービスの価値を理解していただけるのは、ありがたいことだと思います。これまで以上に、価値を提供し続けていかなければいけませんね。

実際に、FISは基幹システムの運用・保守に留まらず、さまざまなIT施策を支援しているそうですね。

大﨑 私たちはお客さまにとっての「社外CIO」でありたいと考えています。IT企画、年間計画策定、セキュリティ相談、最新事例紹介、中立的な立場での他ベンダーとの商談など、さまざまな支援をさせていただいているところです。最近の事例としては、「ボトルtoボトル」案件が印象に残っていますね。

宇田川 「ボトルtoボトル」は、全日食が手がける環境保護活動です。スーパーを利用されるお客さまが、店舗に設置されたリサイクルBOXにペットボトルを持ち込むと、それがその店舗で利用できるポイントに換算されるというものですね。FISは、その実現に向けた各ベンダーとの折衝・取りまとめとシステムの構築を担ってくれています。

ただ、環境にいいことをするだけでなく、その活動がビジネスにつながる環になっている。とても素晴らしい取り組みですね。

宇田川 まだ、正確なデータは出ていませんが、お客さまの来店率が前年の104%を記録していることから、一定の効果が現れていることは間違いないと思います。他の小売企業でも同様の取り組みは存在しますが、その仕組みをしっかりとリファインし、無駄のない仕組みを作り上げてくれました。FISに頼めば、間違いないだろうとは思っていましたが。

大﨑 このようなご依頼をいただけること。そして、その期待に応えられた瞬間は、私たちにとって、これ以上ない喜びであり、やりがいです。現在、全日食様は次世代のシステム構築とさらなる価値創造にチャレンジしているところ。そのチャレンジを成功させるべく、共に歩んでいきたいと考えています。

さらなる進化を目指して、新たな価値創造に挑む

今後に向けての課題、展望についてお聞かせください。

宇田川 これまでに得られた知見をもとに、次世代のシステムを構築すること。そして、すべてのデータを連携・一元化し、可視化することですね。現在は、HeartOne回りのデータについては精緻なものが得られているのですが、まだまだ全社のデータを一元化・可視化できているとは言えません。人事部門をはじめ、各所がそれぞれに作成しているデータをいかに活用できるか。それによって、ビジネスの生産性はさらに向上していくはずです。

IT・データの活用によって、さらなる進化を遂げようとしているのですね。

宇田川 さらなる生産を求める上で、欠かせないもう一つの課題が「人材の育成」です。データをもとに、ビジネスの課題を抽出し、改善策を考える。それができなければ、どんなに体制を整えたとしても、意味がなくなってしまいます。与えられたデータを何となく享受するだけでは、それは仕事ではなく作業になってしまうでしょう? データをいかに活用し、価値をつくり出せるか。そんな人材を育成することが何よりも重要だと考えていますし、FISには、そうした環境を共につくりあげていってほしいと要望しているんです。

大﨑 全日食様の文化や歴史はもちろん、そのシステムが「なぜ、必要なのか」「どのように生まれたのか」という経緯を知らなければ、貴重なデータを最大限に活用することはできませんよね。非常に重いテーマをいただいたと背筋が伸びる想いです。ただ、全日食様には、かつての宇田川さんのように、意欲的な方々が集っています。現在は、次世代システムの構築を担う「2030年会」というチームが発足し、議論と検証を重ねているところ。その想いをしっかりと具現化していけるよう、全力を尽くしていきたいと考えています。

皆さんの取り組みによって、地域の小売店が栄え、人々の食卓が彩られていくわけですね。
お話を聞いていると、全日食様の加盟店に足を運びたくなってしまいます。

宇田川 よりよいお店を実現したいという想いは、私たちだけが抱いているものではありません。意欲的な加盟店さんも多く、各店から有志が集い、次世代の店舗づくりを目指す「シャドウキャビネット」といった取り組みも活発に行われています。そうした想いをしっかりと受け止め、生活者の日常に寄り添った地域で愛されるお店づくりを支援していきたいと思っています。

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